DEM Digital Elevation Model |
カシミールや、他の地形CGソフトで使用できる、地形データについてのご紹介です。
なお、カシミールで使える地図についてはこちら。
1. 地形データ・標高データとは
CGの作成や地図などに利用する、地形データは、ふつう標高データ、DEM(Digital
Elevation Model)、DHM(Digital Hight Model)などと呼ばれています。
このなかみはある範囲の地形をメッシュ上に区切って、そのメッシュの各点の標高値を記載したものです。
たとえば、国土地理院の数値地図(標高)は、等間隔の緯度と経度で区切ったメッシュを日本全土に張って、このメッシュの中心点の標高を記載したテキストデータとなっています。
下は、同じフォーマットのデータの例です。
地形データとか標高データと呼ばれるものにはたくさんの種類があり、現在のところこれという標準化はされていません。日本やアメリカ、ヨーロッパなど、各国の地図作製機関で作られたデータはそれぞれ独自のフォーマットによって作成されています。また、ベースとなっている測量の基準(測地系)も各国で異なっていますので、単純な変換では変換できないことが多いです。
たとえば、日本とアメリカの地形データは等間隔の緯度経度で区切ったメッシュを使用してますが、スイスの地形データは、ベルンの基準点からの距離で等間隔に区切ったメッシュを使ってます。この2つを同時に使うとなると、どちらかの方式への変換作業が必要になります。カシミールの場合、前者の方式へ変換してます。
2. 国土地理院の数値地図
国土地理院の数値地図には3種類の標高データが刊行されています。
1kmメッシュ、250mメッシュ、50mメッシュの3種類。ここでいうメッシュサイズはあくまで、目安で実際には緯度経度のメッシュであるため、北に行くに従って小さいサイズのメッシュになっています。
国土地理院 50mメッシュ(標高) | 国土地理院 250mメッシュ(標高) | 国土地理院 1kmメッシュ(標高) |
97年7月に、数値地図のCD−ROMが発売されました。従来の数値地図の数百分の1の低価格が実現されとても入手しやすくなりました。
数値地図250m/1km(標高) 全国 \7,500 | 数値地図の250m(標高)と1km(標高)の全国分を納めたCD−ROM。ちょっと粗すぎるので風景CGには向かない。 |
数値地図50m(標高) 日本 II \7,500 | 数値地図の50m(標高)は日本を3分割して刊行される。今回刊行されるのは、東北から近畿にかけての地域と近畿以西。日本IIでは中部山岳がすっぽりと収まっている。しかも、これが50mメッシュなのだ!!きわめて詳細な地形が再現できる。これとカシミールで、お気に入りの山をいつも手元に置いておける。 |
数値地図50m(標高) 日本 III \7,500 | |
数値地図50m(標高) 日本 I
未発売 |
これらの入手先は、日本地図センターへFAX等で注文するか、大手の有名書店の地図コーナでも見かけるようになりました。また、秋葉原のラオックス・コンピュータ館にも置いてあります。
3. USGSの標高データ
一般にDEMというとUSGSのデータを指すことが多いようです。
USGS(アメリカ地質調査所)では、全米の地形データ、世界の地形データをPDSとして無料で配布しています。国土地理院の数値地図が出るずっと以前からしかもフリーで配布しているところはすごいです。
ただし、USGSのデータは必ずしも品質がよくなく、デジタル化によってノイズなどが混入しているものもあります。ただ、全米の100mメッシュ相当のデータがフリーで手に入るのは魅力的です。
USGS 3秒メッシュ (1-dgree DEM) | USGS 30秒メッシュ (GTOPO30) |
(a) 30秒メッシュデータ(30arc-second DEM)または(GTOPO30)
ほぼ1kmメッシュ角に相当するデータで、全世界をメッシュ状区切ってカバーしています。いまは、SRTM30の方が精度がよいので、こちらを使用してください。(b)3秒メッシュデータ(1-Degree USGS Digital Elevation Models)
SRTM30の案内
風景を描画するには粗すぎますので、大局的な地形を把握したり、地図表示にしたりといった用途に限られます。
ただし、このデータは100MB程度あるものがあるので、ダウンロードには注意が必要です。
ほぼ100mメッシュ角に相当するデータで、アメリカ本土、ハワイ、アラスカなどのデータがあります。
入手先は WebGIS にあります。7.5minメッシュの方は読めませんのでご注意ください。
4. スイスの標高データ
スイスの連邦地理局ではスイス国内の標高データを販売しています。
標高データには現在のところ、2種類あり、250mメッシュのRIMINIと、25mメッシュのDHM25があります。RIMINI(スイス全土)は個人で6万円程度、教育関係者で3万円程度ですが、DHM25は1枚(25000図単位)あたり数十万円ほどになります。
カシミールではRIMINIとDHM25に完全に対応しています。
入手方法とサンプルはこちらをご覧ください。
このスイスの標高データはスイスアルプスを包含しているため、とても魅力的です。なんとか、詳細な標高データが安く手に入らないかと、NIFTY SERVE FYAMAPが中心となってスイス地理院と交流を深めています。スイスの標高データは、ベルンの基準点からの距離でメッシュを区切っています。したがって緯度経度を正確に合わせるには座標変換が必要になります。カシミールではこの処理が可能です。
5. VistaProの標高データ
アメリカの地形描画ソフトVistaPro(日本での発売はエーアイソフト)には独自形式のDEMファイルが添付されています。
このDEMファイルは30mメッシュの独自形式です。
Vistaproを使用すれば、このDEMファイルの他の形式への書き出し(基本的にグレースケール)が可能です。VistaproのCD-ROMにはNASAのデータをもとにした火星の地形データが含まれているのが魅力です。カシミールで使用するにはここを参照してください。
6. CHsystemの標高データ
拙作のNEC PC-9801 用の地形CG作成ソフトである、CHsystem用の地形データ。
ダウンロードのページから入手できます。
収録地域は、大雪山、十勝岳、上高地、尾瀬、焼岳、千島列島(北方領土含む)など・・このデータは、国土地理院の数値地図がまだない頃、やむ終えず自作したデータ。
データの解像度は25mメッシュ〜50mメッシュ。ただし、紙の地形図をもとに作成したので、メッシュの間隔は緯度経度で区切っていない。
カシミールでもそのまま使用できるが、緯度経度を合わせるには試行錯誤が必要。
CHsystem 標高データのフォーマット(PMBファイル) < ヘッダー部 >
00h - 0Bh 12 Bytes ファイル名
0Ch - 0Eh 3 Bytes 予備
0Fh - 44h 54 Bytes 内部作業用
45h - 47h 3 Bytes 3バイト値で地図の左上絶対座標X軸
48h - 4Ah 3 Bytes 3バイト値で地図の左上絶対座標Z軸
4Bh - 4Ch 3 Bytes 3バイト値で地図の右下絶対座標X軸
4Eh - 50h 3 Bytes 3バイト値で地図の右下絶対座標Z軸
51h - 53h 3 Bytes 3バイト値で横のメッシュデータの個数
54h - 56h 3 Bytes 3バイト値で縦のメッシュデータの個数
57h - 59h 3 Bytes 3バイト値で絶対座標でのメッシュの大きさ3バイト値は下位-上位の順に並んでいます。
2バイト値は下位-上位の順に並んでいます。< データ部 >
データはメッシュデータで各点の標高値が記録されています。データは2バ
イト値です。データの並び方は左から右の順に並び、これらが上から下(北
から南)に走査しています。地図の上は北に一致しているようにしています
が、大きな地図では一致していない場合があります。(ファイルサイズを小
さくするため)標高の数値は次のようになります。
0 : データなし または 海
1< : 標高値(m)+1 (1が0mになります)
-1 : 将来、海とする予定
-2> : 湖の標高値(m)の負符号-2 (-2が0mになります)
7. フリー数値地図(a) 『フリー数値地図』
これも拙作の数値地図で、『やまおたく』データから山を円錐形に近似して作成したものです。250mメッシュと1kmメッシュの解像度で全国をカバーしています。ただ、地形が円錐なのでリアリティには欠けますので風景描画には適しません。(b)その他のフリーの数値地図ダウンロードのページから入手できます。
NIFTY-Serve FYAMAP のメンバー有志が自分の好きな地域の山を地形図から数値地図化したもの。50mメッシュ相当の解像度で国土地理院の数値地図と比べて遜色のないデータです。北アルプス方面はきさく氏らによってカバーされつつあります。
そのほか
そのほかの地形データや標高データについては、Kragenさんのページにも詳しい。
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Copyright (c) 1998. SUGIMOTO Tomohiko.
この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図200000(地図画像)、数値地図50000(地図画像)、数値地図25000(地図画像)、数値地図250mメッシュ(標高)、数値地図50mメッシュ(標高)、数値地図10mメッシュ(火山標高)及び数値地図5mメッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平15総使、第241号)